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骨粗鬆症のお話

看護師ブログ

あなたに合った「骨粗鬆症治療」の見つけ方

こんにちは。皆さまはご自身の骨の健康について考えたことはありますか?

当院には、股関節の痛みに悩む方や、人工股関節手術を受けられた方も多く来院されます。日々の診療の中で、私たちが大切だと感じているのが「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の治療」です。

人工股関節を長く安定して使い続けるためにも、また、新たな骨折を防いで自分らしい生活を守るためにも、土台となる「骨」の強さは欠かせません。しかし、骨粗鬆症の治療は「痛みが取れる」といった実感が湧きにくく、治療期間も長くなりがちです。そのため、「どの薬を選べばいいかわからない」「いつまで続ければいいの?」といった不安を抱える患者様も少なくありません。

今回は看護師の視点から、代表的な治療法の選択肢と、それぞれの治療が「どのような患者様の生活に向いているか」をお話しします。

1. 治療の選択肢とライフスタイル

骨粗鬆症の治療薬は日々進化しており、現在は飲み薬だけでなく、注射薬など多くの選択肢があります。医学的な判断は医師が行いますが、「続けられるかどうか」は皆様の生活スタイルにかかっています。

① 内服薬(飲み薬):毎日の習慣に組み込める方に

最も一般的で、治療の基本となるものです。 ビタミンD製剤や、骨が溶けるのを防ぐビスホスホネート製剤、SERM(サーム)などが代表的です。

  • 特徴: 特にビスホスホネート製剤は効果が高い反面、「起床時にコップ1杯の水で飲む」「服用後30分は横にならず、食事も摂らない」といったルールがあります。これは薬の吸収を良くし、胃や食道への副作用を防ぐためです。

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  • こんな方に向いています:毎朝のルーチンが決まっていて、規則正しい生活を送れている方。

  •             飲み込む力(嚥下機能)に問題がなく、胃腸が比較的丈夫な方。

  •             通院回数をなるべく減らしたい方。

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  • 注意点:「朝起きてすぐに薬を飲むのが面倒」「うっかり朝食を食べてしまって薬を飲みそびれた」という声を聞くこともあります。現在は週に1回や月に1回飲むタイプもありますので、毎日の服用が負担な場合は相談してください。

② 通院による注射:お任せしたい方に

週に一度、月に1回、あるいは半年に1回、クリニックで皮下注射を行う方法です。

  • 特徴: 最大のメリットは「飲み忘れがない」ことと「確実な投与」です。看護師が実施しますので、患者様は通院するだけで治療を進めることができます。

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  • こんな方に向いています:たくさんの薬を飲んでいて、飲み薬を増やしたくない方。

  •             ご自身での服薬管理が難しい、またはご家族が管理されている方。

  •             胃腸が弱く、飲み薬で胸焼けなどを起こしやすい方。

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  • 注意点:半年に1回の注射(プラリアなど)は、通院の負担が軽いですが、定期的な血液検査や、カルシウム剤の併用が必要になることがあります。

③ 自己注射:高い効果を目指し、積極的に治したい方に

ご自宅で、患者様ご自身が毎日(または週に数回)注射を行う治療法です。主に骨形成を強力に促進するテリパラチド製剤などが該当します。

  • 特徴:「自分で注射をする」と聞くと、皆様一様に「怖い」「私にできるかしら」と不安な顔をされます。しかし、現在の自己注射キットは非常に使いやすく、針も髪の毛のように極細で痛みはほとんどありません。骨密度を高める効果が非常に強いため、重症の方や骨折直後の方に推奨されます。

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  • こんな方に向いています:骨密度が著しく低く、早急に骨折リスクを下げたい方。

  •             ご自身での操作に支障がなく、新しい手順を覚えるられる方。

  •             「絶対に骨折したくない」という強いモチベーションがある方。

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  • 注意点:初回導入時には看護師が一緒に指導を行いますが、ご自身で注射をすることに対し抵抗がある方もいます。

2. 治療を止めないために

皆様が「治療を中断しないように支えること」も非常に大切なポイントです。

■ 迷いや不安を受け止める 「テレビで副作用の話を見て怖くなった」「最近、薬を飲むのが億劫だ」など、診察室で医師に言いそびれてしまった本音、ありませんか?正しいリスクの情報や、負担を減らすための別の選択肢を医師と連携して提案します。

■ 生活背景に合わせたアドバイス 例えば、一人暮らしの方、お仕事で忙しい方、介護をされている方など、患者様の背景は様々です。 「週1回の薬だと曜日を忘れてしまう」という方には、カレンダーへの印付けや、ご家族への協力依頼の方法を一緒に考えます。

■ 治療の成果を一緒に喜ぶ 骨粗鬆症治療は「骨折しないことが成果」という、実感を感じにくい戦いです。だからこそ、検査で骨密度が少しでも上がっていたり、現状維持できていたりした時は、「頑張って続けてきてよかった」と実感していただくこと、それが治療継続へのモチベーションになります。

3. ご自身の骨を守りましょう

骨粗鬆症の治療薬選択は、単なる「薬選び」ではなく、皆様の「生活選び」です。 どの方法が正解ということはありません。今の生活リズムを考慮しつつ、「どうありたいか」という希望に一番フィットする方法が、あなたにとってのベストな治療法です。

もし、今の治療に少しでも違和感や負担を感じているなら、我慢せず、次の受診時に相談してください。「薬が飲みにくい」「注射の通院日が仕事と合わなくて…」そんな一言が、より良い治療継続への第一歩になります。

当院では、医師、看護師、理学療法士がチームとなって、皆様の骨や股関節の健康をトータルでサポートしています。 人生100年時代、いつまでも自分の足で歩き、旅行や趣味を楽しむために、私たちと一緒に、無理なく続けられる骨のケアを考えていきましょう。 (2026/2/16  パークタワー西新宿整形外科 骨と股関節のクリニック 看護師)