手術以外の新しい選択肢
「PRP療法」|
ご自身の血液で、
長引く関節の痛みを治す再生医療

はじめに:
その痛み、注射や薬で
ごまかしていませんか?

はじめに「長年、ひざの痛みに悩まされている」「ヒアルロン酸注射を打っているが、効果が長続きしない」「できることなら、手術は避けたい」

関節の痛み、特にひざの痛みを抱える多くの方が、このような悩みを抱えています。従来、変形性膝関節症などの治療は、痛み止めや湿布、ヒアルロン酸注射、リハビリテーションといった保存療法が中心でした。そして、それらで改善が見られない場合は、人工関節置換術などの外科手術が検討されます。

しかし、近年、これらの治療法とは異なるアプローチが登場しました。それが「再生医療」です。
「PRP(多血小板血漿)療法」は、この再生医療の中でも代表的な治療法の一つです。手術のようにメスを入れることなく、患者さんご自身の血液が持つ「治癒能力」を最大限に引き出すことで、痛みの根本的な改善を目指します。

「自分の力で治す」という新しい発想の治療、PRP療法について詳しく解説していきます。

PRP療法とは?
「治癒力の濃縮液」を
患部に届ける治療

PRP療法とは?PRP療法は、"Platelet-Rich Plasma"の略語で、日本語では「多血小板血漿(たけっしょうばんけっしょう)」と言います。

私たちの血液に含まれる「血小板」には、単に血を固めるだけでなく、傷ついた組織の修復を促す多種多様な「成長因子(せいちょういんし)」という物質が豊富に含まれています。転んでケガをした時に、かさぶたができて傷が自然に治っていくのは、この血小板の働きのおかげです。

PRP療法は、この血小板の自己修復能力を利用した治療です。

治療の流れ

  1. 患者さんご自身の腕などから少量の血液(約50ml)を採取します。
  2. 採取した血液を特殊な医療機器(遠心分離機)にかけ、血小板成分を凝縮・抽出します。(当院ではこのプロセスを外注しており2-3週間の時間を要します。)
  3. この「治癒力の濃縮液」とも言えるPRPを、痛みや炎症を起こしている関節や腱に、超音波(エコー)で患部を確認しながら正確に注射します。

注入されたPRPから大量の成長因子が放出され、損傷した組織の修復プロセスを活性化させます。ご自身の血液成分だけを用いるため、アレルギー反応や拒絶反応、感染症などのリスクが極めて低い、非常に安全性の高い治療法です。

なぜ効くのか?PRPがもたらす
治癒のメカニズム

PRPを注射することで、なぜ痛みが和らぎ、組織の修復が期待できるのでしょうか。それは、放出される成長因子が体内で以下のような複合的な働きをするためです。

  • 強力な抗炎症作用
    関節の痛みの主な原因である「炎症」を強く抑制します。これにより、まずつらい痛みが軽減していきます。
  • 組織の修復促進
    すり減った軟骨のさらなる変性を抑制したり、傷ついた腱や靭帯の細胞の増殖を促したりして、組織の修復をサポートします。
  • 痛みの抑制
    痛みを発生させる物質を抑制し、痛みの感覚を和らげる効果も期待されます。

痛み止めのように症状を一時的に抑える「対症療法」とは異なり、PRP療法は身体が本来持つ治癒のプロセスを活性化させることで、症状の根本的な改善を目指す「原因療法」に近い治療と言えます。

PRP療法は、
どのような方におすすめか?

PRP療法は、以下のような症状や疾患、お悩みを持つ方に特に推奨されます。

対象となる主な疾患

  • 変形性膝関節症、変形性股関節症
    初期から中期にかけての関節症で、ヒアルロン酸注射などでは十分な効果が得られない場合に特に良い適応となります。
  • テニス肘・ゴルフ肘(上腕骨外側上顆炎・内側上顆炎)
    繰り返しの動作で傷ついた肘の腱の修復を促します。
  • アキレス腱炎・足底腱膜炎
    スポーツや日常生活で負担のかかる足部の痛みに効果が期待できます。
  • スポーツ外傷(靭帯損傷、肉離れなど)
    プロスポーツ選手の治療にも広く用いられており、早期の競技復帰をサポートします。
  • 肩腱板損傷

このような方にご検討いただきたい治療です

  • 長年、つらい関節の痛みに悩んでいる方
  • これまでの保存療法(薬、注射、リハビリ)で効果を実感できなかった方
  • 手術(人工関節など)はできるだけ避けたい、あるいは先延ばしにしたい方
  • 副作用の少ない、安全な治療を受けたい方
  • スポーツや趣味など、活動的な生活に早く復帰したい方

PRP療法に関する
よくあるご質問(Q&A)

治療に痛みは伴いますか?

採血と注射の際には、通常の注射と同様の痛みがあります。治療後、数日は治癒反応として軽度の痛みや腫れ、熱感が出ることがありますが、自然に軽快しますのでご安心ください。

効果はどれくらいで現れますか?

PRP療法は、ご自身の治癒能力を高める治療のため、痛み止めのように即効性があるわけではありません。多くの場合、治療後2週間〜1ヶ月ほどで少しずつ効果が現れ始め、3ヶ月〜半年かけて組織の修復が進む中で、痛みの軽減や機能の改善を実感される方が多いです。効果の現れ方には個人差があります。

副作用はありますか?

ご自身の血液のみを使用するため、アレルギー反応や拒絶反応といった重い副作用の心配はほとんどありません。考えられる副作用としては、注射部位の一時的な痛み、腫れ、内出血などがありますが、これらは数日で治まることがほとんどです。注射に伴う痛みや、感染症のリスクがあります。

保険は適用されますか?

残念ながら、現在のところPRP療法は保険適用外の「自由診療」となります。そのため、治療費は全額自己負担となります。
費用はPRP療法(1採血)¥132,000:採血・PRP作成・注射の費用を含みます。1採血にて2回、もしくは5回の注射が可能です。関節内には2回、関節外には5回をお薦めしています。注射時は都度1000円の自費診察注射手技料を頂きます。感染症が陽性となった場合、投与ができませんので検査料金 \16,500を差し引き返金いたします。

どの種類のPRPを使用していますか?

当院ではセルソース社のPFC-FD™を使用しております。「PFC-FD™」は、セルソース株式会社がPlatelet-Derived Factor Concentrate Freeze Dryという造語の頭文字から名付けました。

まとめ:痛みをあきらめない、
新しい一歩のために

まとめ:痛みをあきらめない、新しい一歩のためにPRP療法は、長引く関節の痛みに対して、手術という大きな決断をする前に試す価値のある、非常に有効な選択肢です。身体への負担が少なく、安全性が高いこの治療は、多くの方の生活の質(QOL)を大きく改善させる可能性を秘めています。
「この痛みとは一生付き合っていくしかない」とあきらめてしまう前に、ご自身の身体が持つ「治る力」を信じてみませんか。
当院では、患者さん一人ひとりの症状やライフスタイルを丁寧にお伺いし、PRP療法が本当に最適な治療法なのかを慎重に判断いたします。

長引く痛みでお悩みの方は、ぜひ一度、当院の専門医にご相談ください。